介護業界のSNS運用について
「もっとうちの施設を知ってほしい」「常に人手不足の不安がある」「SNSを使った採用活動って介護業界でも効果あるの?」
全国の事業所・施設様へのインタビューを初めて以来、多くの事業所様からSNS運用や事例に関する相談をいただくことが増えています。求職者に直接アプローチできたり、認知度を高めたりできるSNSは、これまでの応募を待つだけのスタイルから一歩進んだ採用手法として注目されています。
さらに、求職者自身が情報を調べる時代となり、施設側が積極的に情報発信を行うことで他の事業所との差別化にも繋がります。
本記事では、SNS運用を実際に行っている施設様の事例を交えながら、SNSについて解説いたします。
採用活動でのSNS運用の現状
ある法人様では、職員を集める難しさからSNSを積極的に運用しています。こちらの法人様では、TikTok・Instagram・YouTubeの3種類を運用しており、採用活動ではInstagramで積極的に発信しています。
グループ全体で3つの拠点を持ち、それぞれ若手社員が広報担当として活動しています。広報担当はイベントの動画を撮影し、SNSに投稿することで施設の魅力を発信しています。ただし、担当者の主業務は介護業務であり、SNS運用は補助的な業務として行われているため、十分な時間を割けない課題もあります。
SNS運用の効果
これらの運用によって若い世代の認知度が広がる一方、直接的な応募者数の増加には結びついていないのが現状です。求人者がマイナビなどの求職情報サイトで施設を知り、その後ホームページやInstagramで詳細を確認するという流れが多いと推測されています。
また、SNS運用自体が多くの施設で行われるようになった今、SNSを始めた当初のような差別化効果は薄れています。現在は「どのように運用しているのか」「どのようなコンテンツを配信しているのか」が重要視される時代となっています。
一方、YouTubeは利用者様やそのご家族様向けの情報発信ツールとして活用され、「動画を見て雰囲気が伝わったので利用したいと思いました、、、」という声も一定数寄せられています。利用者様獲得には確実に効果を発揮しており、施設の雰囲気やスタッフの取り組みを動画で伝えることで信頼を得ています。
運用における課題
SNS運用の課題として、専任担当者の不在や運営方法の明確化が挙げられます。「なんとなくアップしておく」だけでは十分な効果を得られず、計画的かつ継続的な運用が求められます。
また、SNSに投稿する際には、利用者様やそのご家族様の許可が必要です。ある施設様では、入所時に写真や動画の使用許可を確認しており、許可率は8割から9割と高い水準です。このようなプロセスを経ることで、情報発信の透明性を確保されています。
さらに、SNSを運用する際には、採用アカウントと日常的な投稿を行うアカウントを分けることが重要です。必要な情報が適切なターゲットに届くよう、SNSのロジックを理解した運用が求められます。
SNS活用に期待される今後の展望
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1. 目的とターゲット層の明確化
SNS運用の第一歩は「何を目的に、誰に届けたいのか」を明確にすることです。採用活動であれば、新卒者や中途採用希望者などターゲットを絞り、それに応じたコンテンツを作成することが鍵になります。 - 2.
コンテンツの質向上
テキストだけではなく、写真や動画を活用して視覚的に訴求力のある投稿が必要です。特に、スタッフや利用者様の笑顔を含めた写真や、施設内の温かい雰囲気を伝える動画は、求職者や家族に強い印象を与えます。 - 3.
専任担当者の配置と継続的な運用
SNS運用の成功には、専任担当者の配置やチームでの連携が重要です。担当者にはSNSの最新トレンドやアルゴリズムに精通してもらい、継続的かつ戦略的に情報を発信する体制を整えることが必要です。 - 4.
利用者様やご家族様とのコミュニケーション強化
YouTubeやInstagramを通じて利用者様やそのご家族様に施設の取り組みを伝え、信頼関係を築きます。動画を定期的に更新することで、継続的な関心を引き付けることが期待できます。
