人が足りない時代の現場運営を、
3つの視点から考える

人材不足

人が足りない。
でも、仕事は減らない。

採用や定着だけでは解決しきれない
人材不足に対して、介護事業所は
「今ある仕事を、誰が、どのように担うのか」
を見直す段階に入っています。

TOPICS

人材不足への対応では、採用強化や定着支援がまず考えられます。
もちろん、それらは今後も重要です。

一方で、人が足りない状況が続く中では、 今ある仕事を今まで通りのやり方で続けるだけでは、 現場への負担が大きくなっていきます。

確認、記録、共有、申し送り、教育、シフト調整、日々の判断。
どれも現場を回すために必要な仕事ですが、 すべてを今まで通りの担い方で続けることが、 職員の時間や判断を圧迫している場合もあります。

これからの介護事業所には、採用や定着に加えて、
仕事の担い方や、現場の回し方そのものを見直す視点が必要です。
このページでは、人材不足時代の現場運営を考える入口として、3つの視点を整理します。

人が足りない時代にまず見直したい3つの視点

人材不足の中で現場を回し続けるためには、
単に「人を増やす」だけではなく、
今ある仕事の中身を見直す必要があります。
そのときに考えたいのが、次の3つの視点です。

どれか1つだけを考えればよい
というものではありません。
事業所によって、今いちばん
見直したい視点は異なります。
まずは、現在の現場に近い
違和感から確認してみてください。

perspective A

視点 A
人が本当に向き合うべき
仕事は何か

この視点は、現場にある仕事を
「人がやるべきかどうか」から見直すための入口です。

介護現場には、人が関わるからこそ意味のある仕事があります。
利用者の変化に気づくこと。声かけや関わりの中で安心をつくること。その場の状況に応じて判断すること。こうした仕事は、簡単に置き換えられるものではありません。

一方で、現場にあるすべての仕事を、今まで通り人が担い続ける必要があるとは限りません。
たとえば、記録した内容を別の帳票やシステムにも転記している。利用者の状態を確認するために、何度も居室と事務所を行き来している。必要な情報がどこにあるか分からず、確認や申し送りに時間がかかっている。共有のための確認が何度も発生し、職員同士のやり取りが増えている。こうした仕事が積み重なると、職員が本来向き合うべきケアや判断の時間が、少しずつ削られていきます。

人が足りない中で大切なのは、仕事を減らすことだけではなく、人が本当に向き合うべき仕事に時間や判断力を戻すことです。
そのためには、まず今ある仕事を「人が担うべき仕事」と「別の形で支えられる仕事」に分けて考える必要があります。

この視点で見えてくることINSHIGHT

職員が本来向き合うべき
仕事はどこか1

時間を圧迫している
周辺業務は何か2

人が直接対応しなくても
支えられる業務はないか3

次につながる視点NEXT!

次の深掘りでは、現場にある業務を「人が直接向き合う仕事」「人の判断が必要な仕事」「別の形で支えられる仕事」に分けて考えるための整理ポイントをお届けします。

perspective B

視点 B
職員だけで抱える前提
になっていませんか

この視点は、現場にある仕事を
「誰が担うべきか」から見直すための入口です。

人が行う必要のある仕事であっても、そのすべてを施設内の職員だけで抱える必要があるとは限りません。
介護職員が担うべき仕事。他の職種と分担できる仕事。外部の専門機能や、施設外の担い方を検討できる仕事。
人材不足が続く中では、「施設内の職員で全部対応する」ことを前提にするほど、現場の役割は広がり続けます。

たとえば、急な欠勤時の調整、請求や書類確認、勤務表の作成、ICT機器やシステムまわりの確認、外部との連絡調整など。どれも人が関わる必要のある仕事ですが、必ずしも介護職員や施設内の限られた職員だけが抱え続けるべき仕事とは限りません。
採用しても、現場の負担が思ったほど減らない。人を増やしても、管理者や一部職員の負担が変わらない。その背景には、「人が足りない」だけでなく、施設内の職員が担う役割の範囲が広がりすぎている可能性があります。

大切なのは、すぐに何かを外へ任せることではありません。まずは、自施設の中で「職員が担うべき仕事」と「他の担い方を検討できる仕事」を分けて考えることです。
そうすることで、介護職員や管理者が本来担うべき役割に集中しやすい状態をつくるきっかけになります。

この視点で見えてくることINSHIGHT

施設内の職員だけで
抱え続けている業務はないか1

管理者や一部職員に
偏っている役割はないか2

他の職種や外部の機能を
検討できる業務はないか3

次につながる視点NEXT!

次の深掘りでは、採用だけでは埋めきれない業務負担に対して、施設内の職員だけで抱え続けるのではなく、他の担い方を検討するための整理ポイントをお届けします。

perspective C

視点 C
人が変わっても
同じように回る現場とは何か

この視点は、現場を 「特定の人に頼らず回せるか」
から見直すための入口です。

人材不足の中では、今いる職員だけでなく、新しく入る職員、経験の浅い職員、久しぶりにその業務を担当する職員も含めて、現場を回していく必要があります。

そのときに、特定の経験者だけが分かっている運用や、人によって判断が変わる対応が多いままだと、現場は不安定になりやすくなります。「あの人がいないと分からない」を減らすことは重要です。
ただし、これから必要なのは、それだけではありません。人が変わっても、同じ内容を確認できる。同じ順番で覚えられる。同じ基準で判断できる。同じ水準で現場に入れる。そうした状態をつくることが、人が変わっても回る現場の土台になります。

たとえば、申し送りの残し方が人によって違う。新しい職員に教える内容や順番が、教える人によって変わっている。記録や機器の使い方を、経験者に聞かないと分からない。独り立ちの基準が「そろそろ大丈夫そう」という感覚に近くなっている。こうした状態が続くと、人が入れ替わるたびに同じ説明や確認が発生し、現場の安定にも影響しやすくなります。

そのためには、情報共有、教育、判断基準、申し送り、記録の残し方などを、個人任せにしすぎず、現場の中で再現しやすい形にしていくことが必要です。

この視点で見えてくることINSHIGHT

特定の職員だけが
分かっている業務はないか1

人によって判断や対応が
変わりやすい場面はないか2

教育や引き継ぎが
個人任せになっていないか3

次につながる視点NEXT!

次の深掘りでは、人が変わっても同じ水準で現場に入れるように、教育や引き継ぎを「何を・いつ・どの順番で・どこまでできたらよいか」まで整理する視点をお届けします。

MESSAGE

人材不足時代に必要なのは
仕事の担い方を見直すこと

人材不足は、採用や定着だけの問題ではなくなっています。
これからの介護事業所には、限られた人員の中で、今ある仕事を誰が、どのように担うのかを見直す視点が求められます。

人がやるべき仕事は何か。職員が担うべき仕事は何か。人が変わっても回る体制をどうつくるか。この3つの視点から現場運営を見直すことが、人材不足時代の介護事業所運営を考える第一歩になります。

今後、ふくみエールでは、それぞれの視点についてさらに詳しく整理していきます。