介護ソフトを導入し、記録をICT化

Q1.施設長として12年前にこちらの施設に入られたとのことですが、そこから積極的に業務効率化に取り組まれていると伺いました。
一番初めに手を付けられたのはどのようなことでしたか？

最初は申し送りの改善です。当時はひとつの部屋に集まり、報告者が口頭で「●●さんは、こうでした」とすべて読み上げ、聞いている人全員が自分でノートにメモを取る形式でした。この方法は非常に非効率でしたので、介護ソフトを活用して記録をICT化しました。介護ソフト導入当初は、印刷した申し送りを全員に配る運用でしたが、タブレット記録を導入することで印刷が不要となり、さらにスムーズに情報を閲覧・共有できるようになりました。

Q2.導入時には現場での反発や戸惑いはありませんでしたか？

多少の抵抗感はあったように思いますが、施設長として「変えていこう」という強い想いをしっかりと伝えました。また、導入をフォローしてくれた役職者がパソコン操作に抵抗感のない職員だったため、協力しながら進めてくれたことも非常に助かりました。

現場の負担軽減が第一

Q6.OJTや人材採用についてはいかがですか？

当施設では99％以上が中途採用であるため、新卒向けの教育体制は整っておりませんが、人材確保においては状況に応じて柔軟に採用方法を選択しています。
例えば、大手求人サービスを利用する場合、１年中求人広告を出し続ける年間契約では、約500～600万円の費用がかかると聞いたことがあります。ただし、当施設では常時利用しているわけではなく、緊急時に限り活用する方針です。具体的には職員が２名以上不足するなど早急な対応が求められる状況で、１ヵ月単位での掲載を依頼することがあります。この場合の費用は50～60万円程度です。
様々な採用方法を活用する中でも、「ジョブメドレー」というサービスは、他の紹介サービスと比べてコストパフォーマンスが良く、求人者が集まる効果を感じています。
また、当施設が99％以上の中途採用を継続できている背景には、給与面の強みもあります。初代施設長が掲げた「看護師並みの給与を介護士に渡したい」という目標が現在も引き継がれており、この方針のおかげで他施設と比べても職員が集まりやすい状況にあるのではないかと考えています。

Q7.最後に、今後の目標や課題を教えてください。

現場の負担軽減が第一の目標です。特に介護職員の人手不足を解消するために、何から手をつけるべきか日々考えています。製品導入だけではなく、場合によっては施設の形そのものを見直す必要があるかもしれません。当施設は従来型の特性もあるため、それに合った取り組みを模索していきたいと考えています。