1か月の流れ
ケアマネージャーの業務は、日々の相談対応やサービス調整、事務作業と多岐にわたりますが、1ヵ月のスケジュールは大まかに以下のようになります。ひとつの例として参考にしてください。
しかし、現場では予定通りに進まないことも多く、新規利用者様の対応や緊急案件、研修会など、日々調整を重ねながら多岐にわたる業務をこなされています。
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月初
前月の実績入力、国保連レセプト請求、要介護認定調査、研修参加、実習生受け入れ -
中旬
訪問スケジュール連絡/調整、サービス事業所等連絡/調整、要介護認定調査 -
月末
翌月サービス利用票お届け、サービス事業所等連絡/調整
しかし、現場では予定通りに進まないことも多く、新規利用者様の対応や緊急案件、研修会など、日々調整を重ねながら多岐にわたる業務をこなされています。
困難なケースにどう向き合うか?
利用者様とそのご家族様が抱える問題は一つではなく、複雑に絡み合っているケースが多くあります。ケアマネージャーは、それぞれの立場を尊重しながら最善の支援を模索し続けています。ここでは、実際に担当した難しいケースを紹介します。
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同居家族による虐待が疑われたケース
あるケースでは、同居している家族が経済的・心理的・身体的な虐待を行っている可能性がありました。
利用者様本人やデイサービス職員からの情報を受け、すぐ地域包括支援センターへ連携し、包括職員と共に適宜訪問対応を実施しました。利用者様の意向を細かく確認し、デイサービス職員からも継続的な報告を受けながら、支援を続けました。 -
パワハラ・セクハラが発生したケース
利用者様のご家族様が、サービス事業所の職員に対し暴言やセクハラ行うケースが発生しました。
地域包括支援センターや市役所が介入しましたが解決には至らず、最終的に事業所の本部側が警察への相談を前提に書面を提出。その結果、ご家族様からの謝罪があり、すべての事業所の撤退にも理解をいただきました。 -
利用者様とご家族様の意向が一致しないケース
利用者様本人とご家族様の意向が大きく乖離しているケースも珍しくありません。
そういった場合には、何度も担当者会議を開催し、サービス事業所含めたそれぞれの考えをすり合わせる機会を持ちました。はじまりの考えが異なったので、全員が100%満足できる結果ではなかったかもしれないですが、現場で実行可能な最良の形に落ち着かせることができました。
多職種連携のリアル
ケアマネージャーは「連携の要」として、必要な情報を自ら取りに行き、そして適切に共有する役割を担っています。そんなハブ機能を担うケアマネージャーが日々どんなことに意識をして連携を行っているのかを紹介します。
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多職種連携において意識していること
- ・顔の見える関係性をつくる
- ・お互いの職種を尊重する
- ・情報共有を徹底し、スムーズな連携を図る
- ・相手にお願いする際は、理由や流れを明確に伝える
- ・自分が話したことに対し意見を求める
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多職種連携において難しいと感じたケース
- ・異なる職種同士において、お互いの専門性を理解し尊重していないとスムーズに進まないことがある。
信頼が生まれる瞬間を目指して
利用者様やご家族様が安心して生活できるよう、ケアマネージャーには長期的に寄り添う姿勢が求められます。そのためには、信頼関係の構築が欠かせません。しかし、中には本心をなかなか話してくれない方や、介護に対する不安や葛藤を抱えながらも、どう伝えればいいか分からない方もいます。ここでは、ケアマネージャーが関係構築にあたって意識しているポイントを紹介します。
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相手に合わせたアプローチ
利用者様やご家族様の性格や背景は様々です。「その人のキャラクターに合わせた距離感を意識する」ことで、スムーズに関係を築くことができるケースもあります。また、声のトーンや話し方を相手に合わせ、話しやすい雰囲気をつくることも大切です。そのために、「自分の引き出し」を多く持つことが重要だと考えるケアマネージャーもいます。対応のバリエーションを増やすことで、どのようなタイプのご家族様にも柔軟に対応できるようになります。 -
確かな情報提供と誠実な対応
ケアマネージャーの役割のひとつに、「利用者様やご家族様が必要な情報を正しく得られるようにすることがあります。そのため、「うろ覚えの情報は伝えない」「回答期限を明確にする」「面談の際には目的や所要時間を最初に説明する」など、細かい配慮を積み重ねることで、より信頼される存在になっていきます。 -
非言語コミュニケーション
「言葉だけでなく、表情や仕草、身振り手振りから相手の本心を読み取ることも大切」という意見もあります。例えば、言葉では「大丈夫」と言っていても、表情がこわばっている場合には、もう少し踏み込んで話を聞くといった工夫が求められます。細やかなサインを見逃さず、相手の気持ちに寄り添う姿勢を持つことがよい良いケアマネジメントにつながります。
業界の課題と未来に向けて
現場のケアマネージャーたちは、日々増える業務負担の中で、資格制度や処遇、若手の育成など、様々な課題に直面しています。
それぞれの視点から、どのような改善が求められているのかご紹介します。
それぞれの視点から、どのような改善が求められているのかご紹介します。
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資格更新研修の負担
- ・ケアマネージャーの資格更新は、業務負担が大きい中でこなすのは負担
- ・効率化できる部分はあるはずなので、簡略化を求める声が多い
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ケアマネージャー業務の負担と処遇改善
- ・業務量が増えているのに報酬が変わらず、モチベーションの維持が難しい
- ・経済的困窮者や身寄りのない方の支援など、ケアマネージャーが1人で問題に対応することが多く、行政のサポートが不足している
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若手の育成と業界の未来
- ・介護報酬改定では、ケアマネージャーが後回しにされている感覚がある。
- ・若手が目指したくなるような資格にする必要がある
- ・ケアマネージャー同士の情報交換や、横のつながりをもっと増やしていきたい
求められる役割と、想い
ケアマネージャーの仕事は、利用者様・ご家族様の支援、多職種・行政への連携など多岐にわたります。
業務量が増え続けている一方で、報酬や制度が追い付いていないことが、現場の負担をさらに大きくしているのが実情です。
しかし、「利用者様の望む生活が送れるように」という想いは変わらず、より良いケアマネジメントの在り方を模索し続けています。
業務量が増え続けている一方で、報酬や制度が追い付いていないことが、現場の負担をさらに大きくしているのが実情です。
しかし、「利用者様の望む生活が送れるように」という想いは変わらず、より良いケアマネジメントの在り方を模索し続けています。


